Salone del Mobile.Milano 2019

ミラノサローネ(Salone del Mobile.Milano サローネ・デル・モービレ・ミラノ)とは、
世界最大規模の家具見本市「ミラノサローネ国際家具見本市」の通称です。
家具や家具材料のメーカーが一同に展示。同時期にミラノ市内でMilano Design Weekと称し、ブランドがコンセプト展示などを行なっています。

50年以上の歴史があり、産業を活性化するためにつくられたイベントですが、現在は、家具の範疇を超えて、ライフスタイル分野まで多岐にわたり、世界はどこに向かうのかという2年先くらいのトレンドが溢れているため、世界中から感度の高い人々が集まっています。

奇数年には照明器具の見本市Euroluceとオフィス家具の見本市 「Workplace 3.0」が、偶数年にはキッチンの見本市EuroCucinaとバス・トイレの見本市が開催されるのです。2019年は、照明とオフィス家具の見本市の年でした。

はじめてミラノサローネに訪れるにもかかわらず、出展まですることになり、自分たちの出展準備に追われて事前調査も中途半端なままに当日を迎えるのですが…
ミラノの街全体に広がる、華やかでいたるところに活気のある臨場感にあふれる雰囲気は、一生忘れることができないものとなりました。

まずは、メイン会場から。
左右にカフェや展示会場があり、コンセプトによって会場が分かれています。
主にこの展示会ブースでは商談が行われています。この展示ブースを見るだけでも、1~2日、ゆっくり見ればそれ以上かかるでしょう。

今回は、自身の展示ブースでの接客がメインであるため、休憩の合間をぬってスポットで見に行きました。

本年は、照明の年。光に関する展示が多いです。
たとえば、こちらは、イタリアを代表する照明メーカー”FLOS”。
水平と垂直のパーツによって構成されるモジュール式照明。照明という概念を超えてしまいます。
オペレーションのことを考えず、ただ、美しい空間をつくるときにどうしたらよいのかという観点でつくるというところがさすがです。

続いて、nendoチームのブースも印象的でした。自然の中でささやかに照らす証明の中に身を置くだけで心が落ち着きます。どこか日本のこころのようなものを感じるのでした。

つづいて、街中も全体が華やかです。
Montblancの展示は印象的です。五感を使って、街を巻き込んだ展示です。

五感を使った展示で、エキサイティングであったのは、IKEA。
コンセプト”Feel Home”のとおり、空間を全身で感じて思わず、歌って、踊りだしたくなる楽しさにあふれています。

イタリアのキッチンブランド”Boffi”
こちらの展示がとにかく美しい。豊かなくらしとはなにか。心地よく過ごすとはどういうことなのか。人生で大切な”問い”をそっと語りかけてくれました。


こころに豊かさを届けてくれる展示もあれば、ワクワクするような気持を届けてくれる展示も。それが、Rossana Orlandi。世界中からデザイン愛好者たちが訪れるこの場所。
長年のファッションのキャリアから、アート&デザインの世界へと転身するRossana Orlandi。彼女の審美眼を通して、厳選されたアート&デザインのひとつひとつが私たちにインスピレーションを与えてくれます。この場所から世界に羽ばたくデザイナーがうまれてきたのです。

続いて、エルメスの展示”Raw Material”。
迷宮のミニチュアをイメージした石垣で区切られた空間設計が、自然と人々の足を止め、展示の一つひとつをゆっくりと味わえるようになっていました。全体的に”和”を感じさせる空間は、竹、石、などの素材と照明の使い方にあります。優しい光に導かれるように、作品と対話しながら回遊したことを思い出します。

最後に、最も心に残った展示を。
デザインは、海外が牽引しているように思いがちですが、日本の技術・匠も世界をあっとおどろかす力があります。そんな可能性を大いに感じさせてくれたのがハンドルメーカー”UNION”の展示でした。
建築家・田根剛とのコラボレーションで実現した”One Design – One Handle”。
1958年からはじまったその歩みのプロセスを読み解きながら、「砂型鋳造」の技術にフォーカスし、その歴史に眠る製造、技術、素材に関する展示を行う。中でも印象的であったことは、匠たちのデモンストレーションでした。世界中の人々がその姿に魅了され、感銘を受けている姿をみながら、日本のブランドを誇らしく思うのでした。