働く意味‐ミレニアル世代からの問い

日々20代のメンバーから、働くことについての相談があるため、そのことについて考えたいと思います。業種業界を超えて、どのような立場や状況にいようとも、Myers and Sadaghiani(2010)によると、キャリアを築くことが主な目的ではない、Altizer(2010)によると柔軟な働き方やワークライフバランスを好むという、”ミレニアル世代”の働くことに対する意識の共通項は、

1.幸せに毎日を生きていきたい
2.仕事の意義を知りたい(何のために仕事をするのかわからない)
3.楽しく仕事をしたい
4.自分に向いていることを仕事にしたい(この先どのようなことに取り組めば良いかわからない)

という意見が多いです。

これは、世代を超えて人間に共通する根本的な希望とも言えますが、自分の置かれた状況をどのようにとらえるかで、幸せ度合いや仕事に対する楽しさや充実度は変わってくるように思います。

まずは、

1.幸せについて
”幸福学”を研究されている慶應大学大学院SDMの前野教授が提唱する”幸せの4つの因子”の一番目の因子である、第一因子は、”自己実現と成長”です。

社会の要請や人を喜ばせることも含め、夢や目標をもって努力し成長していくことが、人間の幸福感を高めると言われています。

また、心理学者アドラーは、人が幸せに生きるために必要な”共同体感覚”には、
 1.自己受容
 2.他者貢献
 3.他者信頼
 の3つが必要であると述べています。

さらに、ポジティブ心理学アメリカ心理学会元会長であるセリグマン博士によると、「幸せに生きる3つの要素」とは、

 1.The Pleasant Life (楽しい人生);自分の喜びを追求する
 2.  The Good Life (良い人生);自分の長所を活かして、目の前の仕事に没頭する
 3.The Meaningful Life (意味ある人生)
  自分のためではなく周囲のために、あるいはもっと大きなビジョンのために何かを成し遂げること

 人は1の The Pleasant Life (楽しい人生) に意識が向きがちであるが、一瞬の喜びで終わる。
長期間に渡り、人を幸福にするのは、2の The Good Life (良い人生) “自分の長所を生かし、目の前の仕事に没頭する”(フロー状態:Mihaly Csikszentmihalyi)こと、そしてその仕事を3の The Meaningful Life (意味ある人生) “人のために活かす”ことではないでしょうか。



2.仕事の意義
なぜ自分がこの仕事をしているのか、その一つひとつが、どのように広がっていくのか。たとえ、すぐに見えなくても、そう問いかけながら、日々真剣に向き合っているからこそ見える世界があると確信しています。

このようなとき、ふと思い出す言葉は、
”ふさぎこんでいる人に言いたいことはただひとつ。「遠くに目をやろう」” 
” 困難こそ、まさに満足を与えてくれるものである。試行錯誤する余地のある難しい仕事を誰もが選ぼうとする理由である。じっくり考えさせられるような困難が、喜びをもたらすのだ。”
19-20世紀にかけて活躍したフランスの哲学者、幸福論で有名なアランの名言。


物事を俯瞰し、多面的にみることで、得られることは計り知れない。
時間軸、空間軸、意味軸で世界を眺めてみることで、新しい世界に出逢えることがあります。さらに、視点をかえることによって、目の前の一見困難に思えることこそが将来の自分にとってギフトとなる可能性を秘めていることに気が付けることがあります。

それは、私自身も含めて、自分自身でたどり着くことは容易ではありません。
だからこそ、いつでも相手の鏡のような存在となり、目の前に現れる問題に異なる視点から光を当て、解空間を一緒に広げていくこと、そして、相手の心の奥底にある答えに自然とたどりつけるような環境を整えることに、最大限の力を注ぎ続けたいと思います。