ATD International Conference2017

ATD InternationalConference(人材開発・組織開発の国際会議)に参加してきました。昨年のDenverに続き、今年は、Atlantaに、世界中からHR分野の方々が集まりました。

今年度、特に印象に残ったキーワードは、
✓Neuroscience
✓Oxytocin
✓Psychological safety
✓Agile
✓Micro learning
✓Adaptive Learning
✓Self-awareness

などでした。 その中から、いくつかのトピックについて備忘録を。

 ◆Neuroscience(神経科学)
激動、不確実、複雑で曖昧なVUCAの時代だからこそ、数年前から世界中の人々の関心が高まりつつある分野でありますが、今年度も、このキーワードをいたるところで目にしました。
今回最も面白かった≪The Neuroscience of Teams≫というセッションでは、神経科学を組織のチームワークにどのように活用していくかという内容だったのですが、チームに【信頼をベースとした心理的安全(Psychological safety)と目的意識】があるとき、思いやり・共感・幸せホルモンoxytocin(オキシトシン)が、刺激され、素晴らしいインパクトと成長をもたらすということが印象的です。

リーダーたちは、この環境を整えるために試行錯誤していく必要がありますが、常に私たちは、心理的安全である場所にいられるとは限りません。
そんな時にどうしたらよいのか、という問いにヒントをくれたのが、スタンフォード大学のKelly McGonigal教授でした。(日本でもベストセラーになっている著書【スタンフォードの自分を変える教室】が有名です。)
健康心理学を研究するKelly教授のセッションでもoxytocinについて触れられており、ストレスがある状態は、実は、oxytocinが刺激されて、人を思いやる気持ちや脳のエネルギーが高まり、自分のより良い状態を挽き出すという研究結果が出ているのです。
私たちは、どんな環境に置かれても、物事のとらえ方を変えることで、自ら幸せホルモンをつくり出すことができるのだと思うと勇気が湧いてきます。

◆新しい時代を創る世代とLearningTechnologyについて
今年度は、Millennials(Generation Y)とともに、世界全体で20億人を占めるGeneration Z(Z世代:1995~2008年生まれの年代)について触れられていました。 Z世代は、従来の「完璧」であることを好まず、Agile(機敏な・すばやい)であることを求めます。そのため、昨年に引き続き注目されていたキーワードが、Micro learning(一つの概念を2分~5分程度のコンテンツに分けて学ぶ方法)です。

何度も遂行して完璧で情報が多く詰まったコンテンツをつくるのではなく、小さな単位のコンテンツを素早くつくり、トライアンドエラーを繰り返しながらラーニングの機会を提供することで、学ぶ側の成長スピードも変わってきます。また、Z世代は、個人の独立と成長がテーマであり、起業家精神に溢れるため、こちらが導くというよりも支援するスタイルが好ましく、そういった意味でも学びたい時に主体的に学ぶことができるMicro learningという手法はこの世代に合った学習方法の一つなのだと思います。

 一方、企業側にとってのMicro learningは、・個人の能力に最適化した学習を提供できる(Adaptive Learning)・場所を選ばずに情報をリアルタイムに発信・共有できる。といった特徴があり、従来の教育スタイルでは移動コストやトレーナー人件費の面から難しかったことが、テクノロジーによって簡単に実現できるようになり、投資効率の観点から非常にメリットがあります。 ただ、Micro learningのシステムだけでは不十分で、それをどのように導入し活用していくのかという部分が今後の課題になってくるのではないでしょうか。メンバーひとり一人の状況を常に観察し、どのようなコンテンツがどんなタイミングで必要なのかという見極めをして、随時フォローしていく、Learning Designer&Learning Producerの存在が欠かせなくなってきます。

 新しい時代をつくる世代のライフスタイルに合わせて、学習における新しい価値観を理解し、従来の学習のあり方とともにテクノロジーを含めた、Learning Journeyをいかにデザインしていくかが、私たちの今後の大切な役割なのだと皆さんとも話していました。

今回参加して感じたことは、世界のトレンドを感じながらも、最先端の手法が必ずしもすべてではなく、古き良きものを融合させていく必要性や、特異性をもつ日本の国民性や文化があるからこそ、世界に誇れること、大切にすべきことは何なのかということを考えさせられます。
そのこたえは、すぐに出るものではありませんが、だからこそ、自分自身が時代の変化に合わせて、Self-awarenessとともに、シンカし続けていかなくてはならないと感じています。
それは、新しい時代の流れやテクノロジーの進化を常にキャッチしながら、変わらない人間の本質的で大切な真価は何かと問い続け、自分の役割として与えられたこの素晴らしい仕事、この分野を、人材開発に携わる多くの仲間たちと力を合わせて、追求・深化し続けていきたいと思います。」